被相続人死亡後、第三者から生前贈与を主張され訴訟で解決した事例

1事案の概要

 本件は、被相続人が所有する自宅であり、同人の亡夫が生前経営していた会社の本店所在地ともなっていた土地建物につき、同社が既に休眠状態であるにもかかわらず、同社の取締役である被相続人の親族Aが使用しておりました。そのため、被相続人の子らから依頼を受けて、Aを相手方とする土地建物明渡し及び賃料相当損害金の請求をした事案です。Aからは、土地建物につき被相続人から生前贈与を受けたとして所有権移転登記手続請求がなされました。

2事案の特色

 この事案では、被相続人の夫が亡くなった際に既に高齢であったにもかかわらず被相続人が名目上会社の代表取締役となっており、Aが会社に多額の貸付をしていたとのことで、事実上の休眠状態後も代表取締役から外してもらえず、会社の休眠手続もとってもらえない状態が続いておりました。

 さらに、高齢で財産管理のできない被相続人の状態に乗じ、Aにより被相続人の自宅を譲渡させられることを危惧した依頼者の一人が被相続人の成年後見申立を行い、自ら補助人となりました。しかし、その間、被相続人は自宅の所有権をAの子に譲渡する売買契約書とともに、Aに対する高額な借金があること、その借金額を売買代金にあてることなどの覚書まで署名させられてしまっており、依頼者にとっては不利な状況となっておりました。

3交渉及び訴訟

 まずは親族間のことでもありましたので交渉から入りましたが、Aは土地建物の明渡しを頑なに拒否し、会社の清算手続にも全く協力してもらえませんでした。

 そのため、Aを取締役から解任した上で、依頼者が代表取締役に就任して会社の休眠手続をとることから始めました。

 その後、訴訟提起しましたが、Aからは被相続人が署名した売買契約書や覚書、利害関係のないはずの被相続人の友人複数人の証言等の証拠が提出されました。そのため、こちらもAから提出された証拠を一つ一つ精査するとともに証拠収集を行い、証人を確保することで、尋問等を経て一審では勝訴判決を得ることができました。Aから控訴されましたが、控訴審では一審を前提とした勝訴的和解ができ、Aから土地建物を円満に明け渡してもらった上で、解決金の支払いを受けることで無事解決することができました。

4結語

 本件は依頼者にとって不利な証拠があり、状況的には厳しいものがありましたが、証拠集めも含め依頼者とともに粘り強く行い戦い抜いた結果、勝訴的解決に結び付くことができました。依頼者にも大変満足していただきました。

 相続、遺産分割などでお困りの方は、当事務所までお早めにご相談下さい。

 

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