遺産調査の上、時効を援用し、成年後見人を選任した上で遺産分割協議を成立させた解決事例

1事案の概要

 依頼者の叔母(被相続人)が亡くなり,依頼者の両親が既に亡くなっていたため依頼者とその妹が相続人となった代襲相続の事案となります。

 依頼者は、叔母の財産状況を全く把握しておりませんでした。確認したところ、叔母が居住していた建物の底地は祖父母名義のままであり、叔母の水光熱費電話代等の未払いがあること、叔母にその他の債務の存在がうかがわれる郵便物がありました。さらに妹が障害を有し、施設に入所しており、妹の財産も叔母に管理してもらっていたため、妹の施設費用等が未払いになっていることや今後の同費用等の支払いの管理についても不安がありました。

2弁護士による対応-債権調査、相続放棄期間伸長、成年後見人の選任

 叔母の相続につき放棄をするか否かを検討する必要がありますので,叔母の債務の存在が疑われる郵便物一式から債権調査を行ないました。叔母の借金が多額であれば相続放棄をしなければなりませんが、相続放棄は原則として叔母の死亡から3ヶ月以内に行う必要があります。

 しかし、3ヶ月では遺産の全容が明らかにならないため、相続放棄期間伸長の申立を行ないました。さらに,施設で妹本人と面会した上で施設長及び担当の方から説明を受けて状況等の確認を行った上で、成年後見の申立を行い、成年後見人を選任してもらいました。

3弁護士による対応-時効の援用、遺産分割協議、不動産売却手続

 その後の債権調査で,叔母の債務の多くが消滅時効にかかっていることが判明したことから各債権者に対して、内容証明郵便にて消滅時効の援用を行ないました。

  叔母が居住していた建物及び底地については隣地の方が購入を希望したことなどから依頼者は相続することとし、妹の成年後見人とともに遺産分割協議を成立させました。その後、隣地の方と間で不動産売買契約を行ない、不動産売却手続を行いました。

 そのため,依頼者はその売却代金で,叔母の残った債務等一切を清算しその余剰を得るとともに,妹に成年後見人が選任されたことで,未払いとなっていた妹の施設費用等も,妹が取得した遺産により解消され,今後の妹の費用の支払い等の心配もなくなりました。

4雑感

 本件は、共同相続人である妹に成年後見人が必要となる事案であったこともあり、成年後見の申立を行うことで妹の今後の心配についても解消できました。また、依頼者が財産状況を把握していなかった被相続人である叔母の財産につき、相続放棄期間伸長の申立を行うことで、その調査も時間をかけて行うことができました。

 本件は遺産分割までには様々な手続きが必要となりましたが、各手続を経ることで財産状況をしっかり把握した上で熟慮することができ、叔母の債務についてもその多くを消滅時効を援用することでマイナスの財産も最小限にすることができました。最終的には叔母の不動産を売却できたことで妹の施設費用の未払分も支払うことができ、依頼者にとっても良い結果となりました。

5結語

 当初は債務超過の可能性があり相続放棄も検討しましたが、遺産調査をすることで時効の援用が可能であることが判明し、相続放棄をする必要がなくなりました。最終的には不動産を売却することで、依頼者はプラスの財産を得ることができたので満足していただけました。

 相続、遺産分割、相続放棄などでお悩みの方は当事務所までご相談下さい。

 

 

 

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