遺言執行者について

●遺言執行者とは

遺言執行者とは、被相続人の死後に遺言内容を実現する手続を行うため、遺言書により指定された者、又は家庭裁判所に選任された者のことを言います。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法1012条)。今回の民法改正により、遺言執行者の法的地位については、必ずしも相続人の利益のためではなく、遺言内容を実現するためであることが明確に規定されました。

 

●遺言執行者の職務内容

遺言執行者は、遺言執行者としての就職を承諾した場合に任務が開始します。遺言執行者は、全ての相続人に対して中立公正に職務を遂行することが求められる上、遺言執行者として善管注意義務を負います。さらに、遺言執行者の職務は以下のとおり広範に及び、難しい法律問題を含む場合もあるため、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。

遺言執行者の職務概要は以下のとおりです。

➀遺言書の確認-自筆証書遺言等の検認手続

遺言書を確認します。自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は家庭裁判所による検検認手続を行います。また、遺言書が複数ある場合には、新しい遺言が有効になるため、他に遺言がないか確認します。

➁遺言の有効性の確認

自筆証書遺言や秘密証書遺言である場合には形式的要件が備わっているか等を確認します。形式的要件が備わっていなければ遺言書は無効であり、遺言執行はできません。また、遺言の内容が実現可能か否か、遺言が複数あった場合や加除訂正があった場合には、遺言のどの事項がどのような内容で有効になるかを確認します。

➂相続人の調査・通知

遺言執行者は、相続人を調査し、遅滞なく相続人に遺言の内容を通知しなければなりません。

④相続財産調査・財産目録作成

相続財産を速やかに調査し、相続財産につき適切な保管を行い、財産目録を作成し相続人に交付します。

⑤対象物件や関係書類の引渡し、登記や登録手続

遺言執行として、対象物件の登記、登録その他の対抗要件具備や、関係書類の引渡し等を行います。

⑥その他

遺言執行者は執行が妨害されている場合は、妨害排除することができ、また遺言執行に必要な訴訟提起を行うことができます。

 

●遺言執行者を定めるメリット

まず、遺言で子を認知する場合や推定相続人の廃除及びその取消しをする場合等には、遺言執行者を定めなければなりません。そのため、遺言の内容によっては遺言執行者を定める必要があります(遺言書作成のメリット」、「遺言書で決められること」をご参照下さい)

また、遺言が相続人以外の者への遺贈を内容とする場合、遺贈義務者である相続人全員の協力を必要としますが、相続人以外の者への遺贈であることから、必ずしも相続人全員の協力が期待できない場合も少なくありません。そのような場合でも、遺言執行者を指定することで、相続人全員の協力が不要となります。

さらに、遺言執行者が指定されている場合には、相続人は遺言執行者の遺言執行を妨害できませんので、遺言執行者により遺言者の意思を確実に実現させることができます。仮に、相続人が遺言に反する処分行為をしても無効になりますので、遺言者の意思を確実に実現させたい場合には、予防的に遺言執行者を指定しておきましょう。

最後に、遺言執行者は、十分な法律知識のない共同相続人の1人ではなく、専門的知識を有する第三者である弁護士に依頼することをお勧めします。相続人間で日ごろから良好な関係を築いていても、いざ相続が開始すると些細な事でトラブルになり、相続人間でお互いが憎しみあい、一生絶縁状態になることも少なくありません。遺言執行者に専門的知識を有する第三者である弁護士を指定することによって、公平中立な立場で遺言者の意思を円滑に実現することが期待できますので、無用なトラブルを避け、確実かつ円滑に遺言者の意思を実現することができます。

遺言執行に関するお悩みやご相談がありましたら、当事務所までご連絡下さい。

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