遺言書作成のメリット

遺言書作成遺産のある多くの方は遺言書を作成しておけば良いくらいに考え、その作成を先延ばしにされている場合が多いのではないでしょうか。

遺産がある方は、自筆証書遺言もしくは公正証書遺言のどちらでも構いませんので遺言書を作成することをお勧めします。といいますのも作成した方がよいメリットがあるからです。以下においてご説明いたします。

 

●相続人間の紛争を防止できる。

遺産の多寡にかかわらず、被相続人が亡くなり相続問題が生じると、争いが生じることがよくあります。紛争内容によっては裁判となり解決するまでに長期化するケースも珍しくありません。その結果、親族間で絶縁関係となり、後々の人間関係にまで影響を及ぼします。

争いが生じていなくても遺言書がない場合、相続人が遺産分配に関する話し合いを行い、最終的には遺産分割協議書を作成する必要があり、相続人にとっては労力を取られる作業となります(遺産分割の手続とポイント」をご参照下さい)。遺言書を作成しておけば相続人間の遺産分割協議は不要となり、相続人間の争いは確実に減ります。このことは相続人にとっても精神的に安心する材料ともなります。

このような相続人間の争いを防止するためには、被相続人が遺言書を作成しておく方法が最も望ましいと言えます。

 

●被相続人の意思を自由に表明することができる。

遺言書は被相続人の最後の意思表示であり、遺産の配分だけでなく、相続人に対する思いを示すことができます。相続人の多くは、遺言書に示された被相続人の意思を尊重します。遺言者は遺産の配分については、家業に貢献してくれた相続人や介護や身の回りの世話をしてくれた相続人に多く取得できるようにしたり、第三者に対しても遺産を遺贈することができます。このように遺言者は自らの遺産の行方について自由に決めることができます。もちろん、相続人の遺留分を侵害できないという制約はあります(遺留分について」を参照して下さい)。

また、被相続人が遺言書において、遺言執行者を定めておくことにより、遺言内容の実現がスムーズに行われます(遺言執行者について」をご参照下さい)。

遺言者自らが生前に築き上げた財産の処分を自らが決めることは、相続人の紛争を回避する意味でも、遺言者の役割であるとも思えます。

また遺言作成にあたり、遺言者がどうような思いを込めて遺言書を作成したのかについても表明しておくこともできます。これを付言事項といいます(遺言書で決められること」をご参照下さい)。特に遺言内容によっては法定相続分よりも少なくなる相続人にとっては、遺言者の思いを知ることによって遺言内容を受け入れやすくすることができます。

 

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