遺言書を作成した方が良いケース

遺言書作成のメリットをご覧いただければ、遺言書作成の必要性を理解いただけると思われますが、以下のケースは必ず遺言書を作成した方がよいケースとなります。

 

●事業を行っている場合 

株式会社など会社経営をされている場合、中小企業であれば被相続人(亡くなった方)が株式をほぼすべて所有されていることも珍しくありません。このような場合、会社の株式も遺産の対象となりますので、被相続人は生前にあらかじめ遺言で事業を承継する相続人に株式がすべて譲渡されるように記載しておく必要があります。そうでなければ、他の相続人が会社経営に口出しできる余地を残すことになり、事業経営がうまくいかなくなることも考えられるからです。これは法人化されていない個人事業であっても、事業用資産が遺産となる場合には、これらの資産が事業を承継する相続人に譲渡されるように遺言書に記載しておく必要があります。遺言書を作成することによって相続人間の紛争を予防することができます。

 

●夫婦に子どもがいない場合

夫婦間に子どもがいない場合、夫婦のどちらか一方が亡くなると、相続人は①配偶者及び直系尊属(被相続人の父母)、➁直系尊属が既に亡くなっていれば配偶者及び被相続人の兄弟姉妹となります。さらには➂直系尊属や兄弟姉妹が亡くなっている場合、相続人は配偶者と甥姪(兄弟姉妹の子)となります。

  1. の場合の法定相続分は、配偶者3分の2、直系尊属3分の1
  2. の場合の法定相続分は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
  3. の場合の法定相続分は、配偶者4分の3、甥姪  4分の1

つまり、遺言書がなければ、被相続人の父母、兄弟姉妹、甥や姪と、配偶者の遺産について分割協議をしなければなりません。特に疎遠な関係になっていれば話しあうことすら難しいかもしれませんし、甥や姪などはほとんど会ったことがないかもしれません。

このような場合、夫婦のいずれもが、全財産を配偶者へ譲るという内容の遺言書を作成しておくことで遺産分割協議をする必要は無くなります。

夫婦のいずれもが遺言書を作成しておくは、夫婦のどちらが先に死亡するかわからないからです。

全財産を配偶者に譲るという遺言書を作成しておけば、②の配偶者及び兄弟姉妹が相続人となるケースや➂配偶者と甥姪が相続人となるケースであれば、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はありませんから、遺言者は配偶者に全財産を残すことができます。

ただ、➀の配偶者及び直系尊属が相続人となるケースの場合、全財産を配偶者に譲るという遺言書を残していても、直系尊属には遺留分が認められているために、遺言者どおりに全財産を配偶者が取得することはできません(遺留分について」をご参照下さい)。

もっとも、通常多いのは➁や➂のケースと思われますので、遺言書を作成しておく必要性は高いと思われます。

 

●内縁夫婦の場合

内縁の妻や夫は法的には夫婦ではありませんから、法的には保護されておりません。そのため内縁夫婦の一方が亡くなった場合に、配偶者には相続権はありません。仮に内縁夫婦の夫が亡くなったとしましょう。夫婦間に子どもがいれば、子どもが相続しますが、子どもがいなければ内縁の夫の両親や兄弟姉妹、また甥姪が相続人となる可能性があり、内縁の妻は夫の遺産からは何も受け取ることができません。

そこで、内縁の妻は、生前に「全財産を妻へ譲る」という内容の遺言書を夫に作成しておいてもらう必要があります。そうすることで、内縁の妻は初めて夫の遺産を取得することができ、権利が守られることなります。

このような遺言書を作成しておくことで、夫の兄弟姉妹や甥姪には遺留分ありませんから、権利を主張される心配もありません。ただ、夫の両親が存命であれば遺留分の主張がなされる可能性がありますが、このようなケースはあまり多くないと思われます。

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