遺産分割の手続とポイント

●遺言書がない場合

被相続人が遺言を残していなかった場合、遺産を相続人間で分割するには協議をする必要があります(遺産分割協議について」をご参照下さい)。

相続人間で話し合いができない場合や話し合いをしてもまとまらない場合、被相続人の最終住所地を管轄とする家庭裁判所へ調停を申し立てることになります。

調停は、家庭裁判所から選任された調停委員2名による調停委員会に下に話し合いが進められます。実際には、利害が対立する相続人が一同に会して調停委員会と話し合うのではなく、調停を申し立てた相続人と、申し立てられた相続人が個別に調停委員会から事情を尋ねられることになります。相続人間で話し合うよりも調停委員会により主張や争点を適切に整理しながら進めてくれるので相続人間で合意できる場合も多いです。

もっとも、調停はあくまで調停委員会を交えた話し合いであることから相続人全員が分割案に合意しなければまとまりません。結局、調停でまとまらなければ審判へ移行します。

調停から審判への以降は、相続人が特段の措置を取る必要はなく、調停が不成立となった場合に調停申立時点に審判の申立てがあったもととみなされます。

審判とは裁判官が当事者双方の主張と証拠を検討した上で、審判を出す手続を言います。審判には当事者は拘束されます。審判内容に不服がある当事者は即時抗告を提起することになります。

 

●遺言書がある場合

自筆証書遺言及び公正証書遺言を問わず、相続人は原則として遺言内容に拘束され、その内容どおりの分割を行う必要があります。しかしながら、遺言で禁じた場合でない限り、相続人全員の同意があれば遺言と異なる分割も可能となります。遺贈に基づく受遺者がいる場合であれば、受遺者の同意も必要になります。

これは、遺言制度が被相続人の意思を最大限尊重するとしつつも、相続人全員が合意している場合にまで遺言内容の拘束力を認めずに、協議により柔軟な遺産分割を実現しようとするものです。

もっとも実際には遺言があれば、遺言どおりに分割することが多いと考えられます。

なお、自筆証書遺言の場合、所持者が家庭裁判所へ検認の申し立てをする必要があります。また自筆証書遺言が作成された時期や被相続人の状況によれば、遺言無効を主張される場合もあり、遺言を作成するのであれば公正証書遺言にすることをお勧めいたします。

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