死後事務委任契約はあまり聞いたことがないと思われますが、自らの死後に残る事務手続について、生前に親族、知人、弁護士などの専門家に委任しておく契約をいいます。
●委任する事務手続とは
委任者が死後に託す事務手続は、以下のものがあります。
- 葬儀・埋葬に関する事務
- 将来の供養に関する事務
- 医療費や施設利用費の清算
- 住民税や固定資産税などの公租公課の支払
- 生命保険金の請求
- 国民健康保険や国民年金等の各種届出
上記事務が主なものですが、これらに限られるものではありません。委任者が死亡した後に生じる諸々の手続きが対象となると考えてもらってもよいでしょう。
これらの事務手続は通常、相続人などの親族が行うものと考えられ、わざわざ契約することはないといえます。しかし、夫婦間に子どもがいない方、親族とは疎遠となっている方、全く身寄りのない方などは死後の事務手続を確実に行ってもらうためには必要となってくる契約となります。
●遺言との違いについて
死後事務委任契約と遺言との違いは何でしょうか。
遺言は財産に関する事項や身分に関する事項法的拘束力を持たすことができる内容が法律で決められており(「遺言書で決められること」をご参照下さい)、遺言書に自らの死後にしてもらいたい事項を記載していても、指名された者が行うべき義務は生じません。
そのため、生前に受任者との間で死後委任契約を結んでおくことで、受任者は委任者の死後、委任者のために死後事務を行う法的義務が生じます。
このように遺言では法的拘束力を持たすことができない事項につき、死後事務委任契約で対応することできます。
死後事務委任契約については、遺言書と同時に作成しておくことが良いと思われます。
死後事務委任契約を考えておられる方は、一度、当事務所までご相談下さい。