遺産分割の方法

遺産分割にあたっては実際に遺産をどのよう分けるのかという問題が生じてきます。この場合、具体的な分割方法として現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。特に遺産の中に不動産が占める割合が大きい場合、現物分割以外の方法を検討する必要が出てきます。

それぞれの分割方法を説明いたします。

 

●現物分割について

現物分割とは、遺産の形状を変えずにそのまま状態で分割することをいいます。

例えば、遺産に預金と不動産がある場合、預金は相続人Aに、不動産は相続人Bという具合に分割することを言います。遺産分割における原則的方法となります。しかし、実際には預貯金の多寡や、不動産の評価によっては現物分割は困難となることが多いと思われます。

 

●代償分割について

代償分割とは相続人の一部に同人の相続分を超える額の遺産を取得させながら、他の相続人に対して債務を負担させる方法を言います。この方法は、現物分割を取ることにより財産の経済的価値を損なう場合に認められます。

もちろん、相続分を超える額を取得する相続人に代償金を支払う資力があることが要件となります。

例えば、相続人が2名おり、遺産に土地建物(時価3000万円)があるとします。相続人の一人がこの土地建物に家族で居住しており、そのままの居住することを希望している場合、この相続人は他方の相続人に対して、代償金として1500万円を支払う必要があります。

 

●換価分割について

換価分割とは文字通り、遺産を売却して、売却代金を分割する方法をいいます。

この方法が取られるのは現物分割が困難で、相続人において代償金を負担する能力がないため、代償分割もできない場合に行います。

 

●共有分割について

共有分割とは、不動産や動産を共有状態のままで分割することをいいます。例えば遺産として不動産がある場合、相続人Aの持分を2分の1、相続人Bの持分を2分の1の割合で分割することになります。この方法は上記3つの方法のどれも取ることができない場合にやむを得ず行われる手続となります。

この方法はあまりお勧めできるものではなく、できれば取るべきでない方法となります。というのも、形式上は分割が行われたことになっておりますが、実質的には解決を先延ばしにしているに過ぎないからです。共有分割を解消するためには、共有者間で話し合いによる解決できない場合には裁判所へ分割を請求する訴訟を提起する必要があります(民法258条)

 

●分割方法の選択について

遺産分割協議や調停では、相続人間で合意すれば、どのような分割方法も取ることができます。

しかしながら、審判になってしまうと相続人の意向も尊重されますが、分割方法については➀現物分割➁代償分割➂換価分割➃共有分割の順番に検討がなされます。

実際には、遺産の中に不動産が占める割合が大きい場合は、不動産を取得したい相続人が代償金を他の相続人に支払う代償分割や、代償金を捻出できない場合は不動産を売却してその代金を分配する換価分割がなされるケースが多いと思われます。

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