亡くなった父親に多額の借金があるとか、遺産に田舎の不動産があるがほとんど価値がないなど、このまま相続しても大丈夫だろうかという思いが浮かぶのであれば、相続放棄も考えた方が良いと思われます。
相続放棄の手続は家庭裁判所へ申述することだけですので、それ程複雑な手続ではありませんが、相続放棄ができるのは相続開始を知った時から3ヶ月以内と決められております。放棄ができる期間を熟慮期間といいます。3ヶ月という短い期間ですので、被相続人が亡くなってから、早急に放棄するのかどうか態度を決めなければなりません。
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●相続放棄について
被相続人に借金がある場合、通常であれば法定相続分どおり相続人間で借金を分割して相続します。そのため、相続人が債権者へ相続した債務を返済する必要があります。これに対して、相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになり(民法939条)、すべての財産を放棄するので借金などの債務についても引き継ぐこともありません。
このように相続放棄をした方が良いのは被相続人に多額の借金がある場合が典型例ですが、遺産のうち預貯金や不動産などの積極財産(プラス財産)と比較検討してもらい、プラス財産を考慮しても借金の方が大きい場合はやはり相続放棄を考えた方が良いと思われます(「相続放棄のメリット」をご参照ください)。
●相続放棄の手続-相続開始から3ヶ月以内に行う必要
相続放棄の手続は被相続人の最期の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述する方法により行います。ただし、原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3ケ月以内に行う必要があります。
相続放棄に必要な書類の主なものは以下のとおりとなりますが、被相続人との関係性によって必要書類が追加されます。
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 放棄する者の戸籍謄本
●熟慮期間が経過しても相続放棄はできるのか。
相続放棄手続は相続開始を知ってから3ヶ月以内に行う必要がありますが、事情によっては、相続開始を知ってから3ヶ月が経過していても相続放棄が認められることがありますので、そのような場合は一度、当事務所へ相談することをお勧めいたします(「3ヶ月を超えた相続放棄をしたい方へ」をご参照下さい)。
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